この記事で伝えたいこと

  • 歴史と伝統に根ざしたユニークな飲文化
  • トルコの定番ドリンクの正しい注文方法と飲み方
  • 食事のお供に欠かせない人気の発酵ドリンク
  • 旅行中に試して欲しい!おすすめの飲み物

トルコ料理が世界三大料理の一つとされるように、トルコの「飲文化」もまた奥深い魅力に満ちています。

チャイの温かさ、奥深いコーヒーの伝統、なぜかクセになってリピートしたくなる発酵飲料の魅力・・・。

今日まで受け継がれたトルコの飲み物には、人々の生活と歴史が凝縮されています。

この記事では、トルコ人が愛してやまない伝統ドリンクを、その楽しみ方とともに解説します。

執筆者

人気の「熱い」伝統ドリンク3選

トルコには、国民的飲料ともいえる飲み物がいくつかあります。

歴史、習慣、そして人々との交流が詰まった文化そのもので、トルコを旅行で訪れた際には試してもらいたいものばかり。

オーダー方法や飲み方がやや特殊なので、以降でそれぞれ詳しく解説します。

チャイ(Çay)

トルコの飲み物(チャイ)

トルコのことを多少知っている人なら、トルコと聞いたら「ケバブ」と同レベルで思い浮かべるのは「Çay=チャイ(紅茶)」ではないでしょうか。

チャイといえば牛乳やスパイス加えて作るインドのチャイのほうをイメージする人が多いかもしれませんが、トルコのチャイはストレートの紅茶でミルクは入れません。

角砂糖を加えて甘くして飲むのも好まれています。

トルコの人は、このチャイを一日のスタートから終わりまで、小さなチャイグラスで何杯も飲みます。

トルコの飲み物(チャイ)
定番!くびれのある小さなチャイグラスで提供される

トルコでは、来客や商談時には出されたチャイを断るのは失礼とされるほど、チャイはおもてなしの心と深く結びついています。

そんなトルコの生活で欠かせないチャイは、その文化的な重要性から2022年にユネスコ無形文化遺産に登録されました。

トルコのチャイは「濃さ」の調節が可能

チャイを家庭で淹れる際は、「チャイダンルック(Çaydanlık)」といわれる伝統的な二段重ねのやかんを使用。

下段でお湯を沸かし、上段で茶葉を蒸らして濃い紅茶液を作り、グラスに注ぐ際にはだいたい半々ぐらいにお湯と割って入れます。

チャイダンルック
(左)2段のやかん「チャイダンルック」で淹れる家庭のチャイ

ホテルの朝食時や空港ラウンジなどでは、注ぎ口が2つある大型のチャイポットが用意されていることが多く、自分で濃さの調整が可能。

カフェやレストランでは、以下のように言えば濃さのオーダーも可能です。

  • Açık olsun(アチュク オルスン)= 薄めにしてください
  • Demli olsun(デムリ オルスン)= 濃いめにしてください

「ウサギの血の色(Tavşan Kanı)」と呼ばれる濃いめの赤褐色が最高のチャイの色とされていますが、私たち日本人にはちょっと濃く感じるかも?

トルコでは茶葉の生産も盛んで、黒海沿岸のリゼ(Rize)とその周辺地域で主に栽培されています。

スーパーのチャイコーナーに並ぶ膨大な茶葉の数、それは消費量の多さを物語るもの。

スーパーで手に入るチャイのブランドや茶葉のグレードについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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トルココーヒー(Türk Kahvesi)

トルコの飲み物(トルココーヒー)

トルコ旅行でチャイの次に欠かせないのが、小さなカップで味わうトルココーヒー。

Türk Kahvesi = トゥルク カフヴェスィ

トルココーヒーはその淹れ方、飲み方、そして飲み終わった後にまで際立った特徴があります。

非常に細かく挽いた粉を「ジェズヴェ(Cezve)」と呼ばれる銅製の小鍋で水と一緒に煮立て、濾過せずそのまま上澄みをカップに注ぐのが一般的。

熱した砂で淹れる伝統的なスタイルや、トルココーヒーマシンで作る現代版スタイルもあります。

観光地のカフェなどでは、熱した砂で淹れるトルココーヒーのデモンストレーションを見られることも多いです。

ジェズベ
砂の熱で作るコーヒー|熱が均一に伝わり風味豊かに仕上がる

トルココーヒーは作る際に砂糖を加えるため、注文時に希望の甘さを伝える必要があります。

普段のコーヒーはブラックで飲む人でも、トルココーヒーの場合は少しお砂糖を加えてもらったほうが飲みやすいかもしれません。

オーダー方法砂糖の量
Sade(サーデ)砂糖なし
Az şekerli(アズ シェケルリ)砂糖少なめ「ティースプーン0.5杯」
Orta(オルタ)砂糖ふつう「ティースプーン1杯」
Şekerli(シェケルリ)砂糖多め「ティースプーン1.5杯」
Shizuka

私は普通のコーヒーはブラック派ですが、トルココーヒーは濃さと苦さが強いのでお砂糖「Orta」で飲むことが多いです。

提供される際は、ミネラルウォーターとトルコの伝統菓子ロクム(ターキッシュデライト)が添えられるのが一般的。

通常、トルココーヒーにミルクは入りませんが、牛乳とコーヒー粉を一緒に煮出して作るミルク入りトルココーヒー「Sütlü Türk Kahvesi(ストゥル トゥルク カフヴェスィ)」を提供するカフェも一部あります。

トルコの飲み物(ストゥル・トルココーヒー)
ミルク入りトルココーヒー「Sütlü Türk Kahvesi」は口当たりがまろやか

コーヒー占いの文化もある

トルココーヒーは濾過せずに飲むため、カップの底には微細な粉が沈殿します。

飲み終わった後に残った粉の模様で未来を占う「コーヒー占い(Fal)」も有名。

カップの裏側に残った粉が作る模様を占い師が読み解いて、未来を占うというもの。

一部のカフェには占い師がいて頼むと占ってもらえたり、最近ではトルココーヒー占いのアプリもあるようです。("Türk kahvesi falı"で検索)

トルココーヒーの老舗店

イスタンブールには有名なトルココーヒーの有名店がいくつかあります。

Kurukahveci Mehmet Efendi(クルカフヴェジ・メフメット・エフェンディ)は、1871年創業の老舗人気店。

エジプシャンバザールの隣りに本店があり、コーヒーの良い香りが漂っています。

メフメット・エフェンディはトルコ国内で最も有名なコーヒー豆のブランド。

スーパーでも袋入りや缶入りを購入することができますが、本店にはいつも挽きたてのコーヒーを買う人の行列が出来ています。

観光にも便利な立地で併設されたカフェもあるので、機会があれば立ち寄ってみて!

トルコには普通のコーヒーもある

トルコでは伝統的なトルココーヒー以外にも、現代的なコーヒー文化が急速に発展しています。

都市部や観光地にはエスプレッソマシンを導入したカフェも増えてきており、アメリカーノ、ラテ、カプチーノといった各種コーヒーや、ホイップが乗った甘いコールドドリンクも提供しています。

レギュラーコーヒーはトルコ語で「Filtre Kahve(フィルトレ カフヴェ)=フィルターコーヒー」と呼ばれ、淹れ方としてはドリップ式はまだ少ないですが、フレンチプレスを使って淹れるのが一般的。

トルコの飲み物
フレンチプレスで淹れるコーヒーは結構濃いめ!

手軽に楽しめるコーヒーとして、インスタントコーヒーもトルコ国内で広く親しまれています。

特定のブランド名である「ネスカフェ(Nescafe)」がそのままインスタントコーヒーの総称として呼ばれており、バジェットホテルの朝食ではインスタントコーヒーが提供されることも多いです。

サーレップ(Salep)

トルコの飲み物(サーレップ)

もし寒い時期にトルコを訪れるなら、ぜひ試していただきたいのは「Salep=サーレップ」。

秋冬に飲まれる伝統的な温かい飲み物で、優しい甘さとトロっとした喉越しが寒い日にピッタリ。

サーレップは本来、ラン科の植物の根から採取した粉末であるサーレップ粉が使われます。

このサーレップ粉を牛乳と砂糖でじっくり煮込むことで、独特のとろみが生まれます。

Shizuka

昨今、サーレップ粉の代わりに値段の安い澱粉や増粘多糖類が使われていることも多いそう。
本物が受け継がれていないのはちょっぴり残念ですね。

カフェなどで提供されるサーレップには、あらかじめシナモンがたっぷり振りかけられていることが多いです。

丁寧なカフェだと、あらかじめシナモンをかけていいか聞いてくれるところもあります。

シナモンが苦手な場合は、注文時にシナモン抜き(Tarçınsız タルチュンスズ)でオーダーするとよいでしょう。

スーパーでは、こんなインスタントのサーレップドリンクも販売されています。

現地で飲む本物のサーレップとはやや味が違いますが、お湯や牛乳で簡単に作れるし、"サーレップ風"の温かい飲み物としてはわりと美味しいです。

ユニークな「冷たい」発酵ドリンク3選

続いて、トルコでよく飲まれている冷たい発酵ドリンクを紹介します。

どれもややクセのある飲み物ですが、旅の思い出に是非トライしてみてください。

アイラン(Ayran)

トルコの飲み物(アイラン)

トルコの食卓に深く根付いた国民的ヨーグルトドリンク「アイラン(Ayran)」

日本のヨーグルトドリンクとは違って、塩気が効いているのが特徴です。

アイランはヨーグルトを水と塩で割って作られるシンプルな飲み物ですが、その塩味が脂っこいお肉料理と抜群の相性を発揮。

地域によって製法が異なる場合があり、例えば私が住んでいるデニズリ県では「Yanık Kokulu Ayran」という焦げた香りのついたアイランが提供されることがあります。

また、これも地域性があるかもしれませんが、レストランや食堂でアイランを注文すると「Açık?Kapalı?」と二者択一を迫られることも。

トルコの飲み物(アイラン)
(左)Açık Ayran (右)Kapalı Ayran

単語の意味としては、Açık=開いている、Kapalı=閉じている、ですが、アイランで使われる場合の違いは以下のとおり。

  • Açık(アチュク)
    • お店の自家製アイランで蓋はされていない。
    • 銅製またはグラスのカップで提供される。
    • きめ細かい泡が立っている場合が多い。
  • Kapalı(カパル)
    • 工場で作られたアイランでパックや瓶に充填されている。
    • パックや瓶のまま蓋が閉じられた状態で提供される。
    • 蓋を開ける前によく振ってから飲む。

観光地だと問答無用でどちらかが出てくる可能性が高いですが、外食時にもし選べるのだとしたらパック入りはスーパーや売店でも購入できるので、自家製の「Açık Ayran(アチュク アイラン)」を試してみるのもよいでしょう。

泡がモコモコしたアイランは、心なしかより美味しく感じます。

Shizuka

アイランは暑い夏の水分補給にも最適です。

トゥルシュ・スユ(Turşu Suyu)/シャルガム(Şalgam)

トルコの飲み物(トゥルシュ・スユ)

トルコの街角で、様々な野菜の漬け物(トゥルシュ)を売る屋台を見かけることがあります。

そこで漬け物と一緒に、小さなカップまたはボトルで売られているのが、ピンク色の液体をした「トゥルシュ・スユ(Turşu Suyu)」

トゥルシュ・スユは、キュウリ、キャベツ、ビーツなど、店ごとに漬けている様々な野菜から出る多種多様な漬け汁のことです。

味はかなり独特で、まさに漬け物の汁!といった酸っぱい飲み物。

スーパーなどでもペットボトル入りが購入できます。

トルコの飲み物(トゥルシュ・スユとシャルガム)
ペットボトルで提供される(左)トゥルシュ・スユ /(右)シャルガム

もう一つ、濃い赤紫色の液体「シャルガム(Şalgam)」という飲み物もあります。

シャルガムは黒ニンジンとカブをベースにした特定のレシピを持つ発酵飲料。

こちらも結構パンチのある飲み物ですが、クセになってついまた飲みたくなるのが不思議。

トゥルシュ・スユとシャルガム、どちらもトルコで愛される酸味と塩気のある発酵飲料ですが、その主原料や製法には明確な違いがあります。

  • トゥルシュ・スユ
    • 漬け物による自然な発酵で出来た副産物。
    • 色はピンク色~オレンジ色~薄い赤色。
    • さまざまな野菜を漬け込んだ際にできる塩水をベースとした汁。
    • 色味や風味付けのためにシャルガム・スユを塩水に混ぜて使うことがある。
  • シャルガム
    • ブルグルや酵母を用いて長期間の発酵で造られる飲料。
    • 色は濃い赤紫色。
    • 黒ニンジンとカブが主たる原料。
    • 製造過程で唐辛子や辛いピーマンの漬け汁を加えて辛みを調整する。
Shizuka

トゥルシュ・スユもシャルガムも、辛味のある「アジュル(Acılı)」と辛味のない「アジュスズ(Acısız)」があります。
辛みのあるAcılıはのどにビリビリくるような刺激があるので、辛いのが苦手な人は気をつけて!

アイランと魚料理はNG? トルコの食文化に潜む伝統的なタブー

トルコ料理には「食べ合わせ」に関する独自の伝統があり、特にアイランについては、ある種の「タブー」が存在します。

トルコ人の間では、「アイラン(ヨーグルト製品)と魚料理を一緒に食べると食中毒を起こす」という認識が長きにわたり強く受け継がれてきました。

これは、冷蔵技術がなかった時代に鮮度が落ちやすい魚と乳製品を同時に摂取することへの強い警戒感から生まれたもので、衛生管理が行き届いている現代では健康上の問題はほとんどないそう。

しかし、文化的な習慣として今でも残っており、多くの魚料理店ではアイランをメニューから外すか、積極的には提供しないのが一般的です。

魚料理には、トゥルシュ・スユやシャルガムの強い酸味と塩気が消化を助ける役割があるとされ、一緒に飲むことが好まれています。

お酒を飲む場合には、魚料理にはラク(トルコの蒸留酒)を合わせるのがトルコ流の「通」な飲み方!

ボザ (Boza)

トルコの飲み物(ボザ)

アイランやトゥルシュ・スユ、シャルガムに比べると知名度は低いかもしれませんが、発酵飲料として紹介しておきたいのが、クリーム色の濃厚な飲み物「ボザ(Boza)」

トルコだけでなく、周辺国でも飲まれているそう。

主にキビや小麦などの穀物を発酵させて作る、冬の時期に飲まれる伝統的な飲料です。

ボザは冬の飲料とは言っても温かい飲み物ではなく、常温で提供されます。

飲むというよりは「とろみのある食べ物」に近いユニークな食感で、ほどよい甘みと酸味が特徴の発酵飲料。

シナモンを振りかけて、Leblebi(レブレビ)というローストしたひよこ豆をトッピングして飲む(もしくはスプーンで食べる)のが一般的です。

冬の風物詩だった「ボザ売り」

かつては「ボザジュ(Bozacı)」と呼ばれるボザ売りが、ボザが入った大きな銅製の樽やタンクを担ぎ、独特の呼び声を発しながら住宅地を売り歩くのが冬の夜の風物詩だったそう。

オスマン帝国時代からの伝統的な商売の形でしたが、現代では衛生面や生活様式の変化により、その姿はほとんど見られなくなってしまいました。

現在、ボザを販売するお店じたいが少なく、アンカラ、エスキシェヒル、ブルサ、チャナッカレ、コンヤなどの歴史的な地域で製造販売、また一部のカフェで提供されています。

イスタンブールには、1876年創業の老舗「Vefa Bozacısı(ヴェファ・ボザジュスィ)」があり、伝統的なボザをいただくことができるので、観光のついでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

Shizuka

私はボザが結構好きですが、今住んでいる町にはないので出先で見かけると必ず買ってしまいます。
Leblebi(レブレビ)との相性が抜群!個人的にシナモンは無しのほうが好みです。

街歩きに!フレッシュな冷製ドリンク

最後に、トルコの街歩きの途中で見かけるであろうドリンクも紹介します。

生絞りジュース(Sıkma Suyu)

トルコの飲み物

トルコの観光地を歩いていると、カラフルな果物を並べた屋台を頻繁に見かけます。

そこで売られているのが、「スクマ・スユ(Sıkma Suyu)=生絞りジュース)」。

新鮮なザクロ(Nar)やオレンジ(Portakal)をその場で絞ってくれるので、ビタミンと活力を手軽にチャージできます。

一般的に氷は入れず、紙コップでの提供なので衛生面も問題なし。

特に、強力な抗酸化作用でアンチエイジングが期待できるザクロジュースは女性に大人気。

旬のフレッシュなザクロは秋冬(地方によっては春先まで)しか市場に出回りませんが、もしこの時期にトルコを旅行する方は是非、甘酸っぱいザクロの生ジュースを飲んでみてください。

シロップ系ジュース

トルコの飲み物

トルコのシロップドリンクと言えば、オスマン帝国時代の伝統的な飲み物シェルベット(Şerbet)が有名。

旅行客が気軽に楽しむなら、街歩きの最中にスタンドで買えるシロップ系のドリンクとして、「カラドゥット・スユ (Karadut Suyu)=黒実桑のジュース」や「ヴィシネ・スユ(Vişne Suyu)=サワーチェリーのジュース」などがあります。

トルコの飲み物

トルコの観光地、特にエーゲ海や地中海エリアで年間通してよく見かけるのは、「カラドゥット・スユ (Karadut Suyu)=黒実桑のジュース」。

黒実桑には、免疫システム強化、消化器系サポート、抗酸化作用、抗炎症作用、貧血の改善、血糖値バランスを整える、肌と髪のダメージを改善するなど、色々と体に良い効果があるそう。

Shizuka

黒桑の実を圧縮し、その果汁を煮詰めて濃縮したエキス「Karadut Özü」も売っています。
家庭で飲む場合は、お湯で割って砂糖か蜂蜜を加え、冷やして飲むと美味しいので、お土産にも是非。

おわりに

トルコの伝統的な飲み物から街歩きの途中にスタンドで買えるドリンクまで、一気に紹介しましたがいかがでしたか。

訪れる時期に合わせて、トルコ料理に合わせて、色々と楽しんでみてください。

よろしければ以下の記事もご参考に!

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